基板の配線幅を決定する際の基本的な事項をまとめていきます。Panasonicさんの資料をベースにしています。
配線幅を決定する要素
配線幅を決める要素は二つです。
- 配線自体の温度上昇を防ぐ
- 配線の破壊を防ぐ
配線自体の温度上昇を防ぐ
配線の温度上昇は配線自体が持つ抵抗に電流が流れることで決まります。
一般に抵抗は線幅と導体の厚さに反比例し、導体の長さに比例します。従って導体の抵抗と発熱量は下記の式のような比例関係になります。
$$配線の抵抗 \propto \frac {L}{W * H}$$
$$配線の発熱量 \propto \frac {L}{W * H} * I^2 $$
ここでL:配線長さ、W:配線幅、H:配線の導体厚さ、I:電流としています。
この中で変更しやすい配線幅を変更して発熱を抑えていくことになります。配線の長さを短くすることも考えられますが、配線の引き回しや部品配置で配線長さは変わりやすいので、あまり長さを中心には考えません。配線長さは長めにとって設定しておき、実際の配線長さを設定値よりも短くつくることで、安全率が高くなる設計としておきます。導体の厚さを増やすことは基本的にコストアップなので、最終手段として考えておきます。
さて、配線の温度上昇ですが、パナソニックさんの資料では10℃以下に抑えるとなっています。本来は搭載部品や雰囲気温度で基板と搭載部品の上限温度が決定し、その上で導体の発熱をいくつにするかという順番で決定しますが、雰囲気温度と部品の耐熱がわからない中、厳しめに10℃という値を決めているように見えます。例えば雰囲気温度上限60℃、部品の耐熱温度が85℃とすれば、雰囲気温度基点で20℃上昇してもまだ5℃余裕がありますが、安全率を高めにとって10℃としているのでしょう。以下、パナソニックさんに習い、発熱を10℃に抑える前提で話をしていきます。
ここで、パナソニックさんの実験を整理しておきましょう。
板厚1.6mm、180mm×30mmの紙フェノール基板材料及び多層基板材料に直線の導体を作成し、電流を流して、導体の温度を測定したものです。導体の長さが明示されていませんが、150mmはあると考えてよいかと思います。実験の結果として基板材料による差はほとんど見られなかったとのことです。
よく使用されるであろう導体厚さ35um(1OZ)での結果は下のグラフの通りです。

発熱を10℃に抑えるには一番下の10℃の線に従わなければなりません。グラフから読み取ると、以下の表のようになります。
流れる電流値 [A] | 最低導体幅 [mm] |
---|---|
1 | 0.3 |
2 | 0.8 |
3 | 1.5 |
4 | 2.7 |
5 | 4.8 |
導体幅を0.5mm取っておけば1A流しても発熱は10℃以下ということですね。
配線の破壊を防ぐ
異常時の電流による配線の破壊を防ぐために、どのくらい流れたら一発で配線がアウトなのかも知っておく必要があります。こちらの実験結果は下の図の通りです。雰囲気温度などの条件が書いていませんが、常用温度帯ならだいたいこのくらいの電流でアウトということです。基本的には電流が流れる→配線の熱が上昇する→銅が溶けて断線という形になります。銅の融点は1085℃なので、局所的にこのくらいまで温度が上がってしまうということかと思います。

35μmの厚さの場合、導体幅0.5mmで8A流すと配線が破壊されるようです。
結局、配線幅の基準は?
よく出てくる、電流1Aで配線幅0.5mmをベースとし、配線長が明らかに100mm以下なら電流1Aで配線幅0.3mmでもOKとなるかと思います。異常時に電流が多く流れる回路は特別に線幅を増やしていきましょう。
配線同士の間隔
空気は良好な絶縁体として知られていますが、電気が流れやすいものが近くにあるときに、大きな電圧がかかると、空気といえど絶縁破壊をおこし、空気を伝わって電流が流れます。従って、配線同士があまりに近いと、電圧がある一定以上かかった時に、配線間に電流が流れてしまいます。これを防ぐためにどのくらいに配線間隔にしておいたら良いかという基準も知っておく必要があります。こちらもPanasonicさんの資料より、以下のように示されています。

このグラフからわかるように導体の間隔が0.2mmくらいの時は600V程度で絶縁破壊してしまうことになっており、サージを含めてどのくらいの電圧が回路にかかるかは気にしておいたほうがよさそうです。場合によってはサージ対策を織り込んでおきましょう。
今回の内容はここまでです。ご覧いただきありがとうございました。