[FX] 単純な高値安値のブレイクアウトに優位性はあるのか?48万本のローソク足を用いて検証した結果

今回の内容

今回は単純な高値や安値のブレイクアウトには有効性がないということを検証してみました。データはUSDJPYを用いており、検証対象の時間足は1分、5分、15分、1時間、4時間、8時間、日足、週足、月足です。データを取得できるだけ取得して調査した結果、用いたローソク足の総数は48万8000本となりました。結果として、ほとんどの時間足で優位性はなく、検証3において日足以上の時間足で少し傾向が見える結果となりました。

※この記事は投資助言や勧誘にあたるものではありませんので、投資はあくまで自己の判断のもと、自己責任で行ってください。

検証その1

まずは今回の検証について説明します。

①安値や高値をローソク足の終値が超えた時をブレイクアウトとして、その後の値動きを調査。
②高値を上方向にブレイクアウトした場合、ブレイクアウト時の安値と高値の幅分ブレイクアウト方向に先に到達するか、それとも逆に安値側に先に到達するかを調べた(安値を下方向にブレイクアウトしたときは高値と安値の幅分だけ下方向にのびるか)
③計算の都合上ブレイクアウトからローソク足100本分たってもどちらにも到達しない場合はレンジ内として処理し、レンジ内、上方向到達、下方向到達の3つに値動きを分類した。

※データはUSDJPYの1分、5分、15分、1時間、4時間、8時間、日、週、月のローソク足とし、1分足から1時間足までは99999本のローソクを取得している。4時間足以降で取得したローソク足の数は減少しており、月足では615本のローソク足となっている。

実際には下の図のようにブレイクアウトしたポイントを探して、その後の値動きがどうなるのかPythonを用いて処理しています。

結果その1

 データに偏りが見える!と喜ぶのは早く、実はあんまり優位性はない。次のグラフは上のグラフが高値を上方向にブレイクした場合、下が安値を下方向にブレイクした場合の結果である。例えば高値を上方向にブレイクした場合を見てみよう。4時間足でみれば、57%の確率で上方向の目標に到達しており、優位性があるように見える。しかしながら平均のprofit factorが0.66となっており、開始時点の価格が既に上方向の目標に近いことを示している。比率にして4:6。開始時点で上方向目標への距離は4なのに対し、下方向目標への距離は6なのである。価格がふらふらと上にも下にも移動する場合を考えた場合、距離4の方に6割が先に到達しても不思議ではない。一方で、どの時間足においても10本もすれば上もしくは下方向の目標に到達するという点は興味深い(1分足を除く)

高値を上方向にブレイクした場合の結果。最上段左から1分足、5分足、15分足、中段左から1時間足、4時間足、8時間足、下段左から日足、週足、月足。
三本のグラフは左からレンジ内、高値到達、安値到達
安値を下方向にブレイクした場合の結果。最上段左から1分足、5分足、15分足、中段左から1時間足、4時間足、8時間足、下段左から日足、週足、月足。
三本のグラフは左からレンジ内、高値到達、安値到達

検証その2

 検証その1では上方向と下方向でゴールへの距離が違うことが結果を見えにくくしていた。そこで、ゴールへの距離が1:1になるようにして検証していく。検証その2ではブレイク方向と反対側の目標を上方向にシフトし、オレンジと青の線の幅を狭めることで、ゴールへの距離が1:1になるようにした。

結果その2

週足の上方向ブレイクのみ少し差が出ていますが、他は上に行くのか下に行くのか1:1くらいの割合となっていますね。この結果からは上に行く確率も下に行く確率も50%に見えます。単純な高値安値をブレイクアウトしても特に優位性はなく、ある価格から同じ値幅だけ上がるのも下がるのも同じ確率という結果です。

高値を上方向にブレイクした時の結果(安値側の目標を切り上げた場合)。
最上段左から1分足、5分足、15分足、中段左から1時間足、4時間足、8時間足、下段左から日足、週足、月足。
三本のグラフは左からレンジ内、高値到達、安値到達
安値を下方向にブレイクした時の結果(高値側の目標を切り下げた場合)。
最上段左から1分足、5分足、15分足、中段左から1時間足、4時間足、8時間足、下段左から日足、週足、月足。
三本のグラフは左からレンジ内、高値到達、安値到達

検証その3

最後に、到達目標を遠ざけた場合も見てみましょう。上方向にブレイクした場合、ブレイク時の終値とその時の安値の差分だけ上に目標を置き、どちらに先に到達する例が多いか見てみます。

結果その3

この見方であればブレイクした方向への行きやすさにおいて若干週足は分があるように見えます。それ以外だと、日足と月足の安値を下方向にブレイクでしょうか。月足ともなるとサンプル数が減ってしまい、なかなか結果の判断が難しいですね。小さいスケールの時間足では上方向に行くにも下方向に行くにも差がないように見えます。

高値を上方向にブレイクした時の結果(高値側の目標を切り上げた場合)。
最上段左から1分足、5分足、15分足、中段左から1時間足、4時間足、8時間足、下段左から日足、週足、月足。
三本のグラフは左からレンジ内、高値到達、安値到達
安値を下方向にブレイクした時の結果(安値側の目標を切り下げた場合)。
最上段左から1分足、5分足、15分足、中段左から1時間足、4時間足、8時間足、下段左から日足、週足、月足。
三本のグラフは左からレンジ内、高値到達、安値到達

あとがき

今回は安値高値の単純なブレイクアウトについてみてみました。結果として単純なブレイクアウトにはほぼ優位性はなさそうという結果となりました。ここまでお読みになった方は「ロールリバーサルを待っていれば優位性がある」、「重要な安値高値のブレイクアウトであれば優位性があるはず」、「USDJPYではなく、他の通貨や商品、指数であれば優位性があるのでは」というようなアイディアを考えられると思います。それらの検証はまた実施していきたいと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。